仕事の帰りに美しい月。
28歳女性
【主訴】来院時、妊娠4ヶ月目。妊娠7週目から悪阻(つわり)が始まる。
初めは、嘔吐もあったが次第に涎のみで、毎日ペットボトル3本から4本出る。
涎はやや粘稠。喉も乾く、水分は1ℓ以上摂取。涎の不快感からイライラがつのり食欲減退。
昨年春に初めて妊娠するも4ヶ月目で死産。前回も同じく涎つわり。また、今回も前回同様、妊娠した途端、寝つきに4〜5時間かかるようになる。
【悪阻(つわり)について】
一般には妊娠初期に発生し、2〜3ヶ月で収まるが重症になると頻繁に起こり食べれず後期まで及ぶ。
悪阻の病因は様々。多量の涎つわりの場合は、寒熱の違いはあるものの、普段から胃内に痰飲(水分)が停滞し易い状態にあったところ、妊娠した事によって、「衝脈」の気が上逆し、共に痰飲も上逆する為に発症する。
【治療法】彼女の場合は、上熱下寒の状態で、熱を冷ます為に必要な陰血の不足がバックにあり、睡眠障害も発症したものと思われる。
一昨年の死産と同じ時期でもあり慎重に陰を補いつつ、気逆を下げ熱を軽くとる方法で治療を行った。
1診目〜3診目迄: 左照海を古代鍼で翳す。
4診目〜5診目迄: 左外関 2番鍼で20分置鍼。
6診目: 右申脈 2番鍼で20分置鍼。
【経過】
古代鍼の鍼で脈が落ち着き、足が温かくなり、その日の夜はいつもより良く眠れるようになる。
3診目から涎も止まり、食欲も出て調子よく、熟睡出来るようになる。赤ちゃんも良く動き現在8ヶ月目。