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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2008年8月28日(木)

Vol.19「感情と健康を考える」

(庶民は名医)
先日、長年アメリカに在住している友人に出会った。
彼女は仕事はしていないが、沢山の人と接する、云わばよろずや相談のようなボランティア活動をしている。
「アメリカも癌の人多い?」と聞くと「多いよ」と。
癌の人から話を聞くと皆大きなストレスを抱えている。とのこと。彼女いわく、ストレスの中でも、みな抱えているのが「怨執(おんしつ)」だという。
一言で言うと対人間への怨みつらみのことだ。
かなり納得できる。怨みつらみまではいかなくても、長年にわたってひとつの事を悩み続けていれば、かなり病にかかるリスクは高くなるだろう。
努力ではどうしようもできない感情的なものこそ大きなストレスとなるのだろう。
人間関係とはかくも難しいものだと感じた事のない人はいないのではないか。
夫婦関係然り、職場での人間関係然り、近所のお付き合いなども。最近では親子関係の悪化も深刻さが目立つ。
とにかく「この人さえいなければ~~~!」と思ってしまう存在。
それも長年にわたっての存在。これこそストレスの根元。

(相手のせい?)
しかし、良く考えれば、自分が嫌な思いをするのは結局「相手のせい?」かどうか…いろんな意見はあるだろうが、
ここで私が最も問題と思うのは、相手を攻めるこちらの生命状態だ。
相手への攻撃という激しい生命状態は、結局その矢は自分の健康状態を損なってしまうのだ。
怒りの生命は、東洋医学では「肝の臓」に属する。
「肝の臓」は猛々しくエネルギーの活力ともいうべき大事な臓だが、伸び伸び出来ないところに「肝鬱気滞(かんうつきたい)」といって、様々な気と血の滞りを作ってしまう。
その肝鬱気滞が長引けば、塊を形成してしまう。
この塊こそ、癌の大本と考えられるのだ。
結局、相手を攻めてしまう自分自身の生命の状態にストレスの根元があるといってもいいのではないか。
とはいっても、現実はそう簡単ではない。どう考えても相手が悪い場合もあるし、どうしようもなく抜け出せない環境もある。

(ストレスからの脱却)
では、どうすれば、このようなストレスから心を開放させることができるのか?
考え方を変えたり、逃げたりすればいいことは誰でも分かるがそんな簡単にはいかないのが現実。
しかし、これもひとつの技があるのかもしれないが、東洋医学的に見ても、相手はどうあれ、自分自身の「詰まったものを通じさせる事」しかない。
通じさせるには吐き出すしかないということだ。
過食症の方がおられたが、食べて食べて食べまくって、最後に指を突っ込んで吐き出すのだ。深い理由がある。満たされない事を、食で満たし、吐きだしてすっきりさせる。これは大きく感情と結びついている。
よって、胃はかなりの負担がかかるが、他に解消法が無いのなら、決して食べたらだめとは言ってはいけない事も学ばせていただいた。

とにかくも、今の自分の感情を吐き出すこと。アドバイスをもらうのでもなく、ただ話を「うんうん」と聞いてくれる人。この存在が大きいと感じる。
そんな人がいない人もいるかもしれない。いなければ、身体を動かせて発散してほしい。または、「ストレス解消ノート」などを作成して感情を書き出すのもいいのでは?
書いたらすぐ捨てたほうが得策とは思うが・・・・

また、ストレス=緊張の反対は、ゆるみだ。
ゆるみは、心からの笑い、人を大切に思う心、嬉しい気持ち、温かい心、満足の気持ちなどなど誰もが持っている本来の人間らしい感情だ。
その根底には「感謝」の2字が潜んでいるように感じる。

(心と身体は一体)
私は、心と身体は一体と捉える東洋医学に携わる者として、常にこの緊張と弛緩のバランスを考えて治療にあたっている。
また、鍼灸治療では特別なアドバイスが無くても、鍼という技術で気血の滞りを通じさせるバランスをとることが出来る。
鍼灸は本当にこれからの医療に無くてはならないものと日々実感を深くする。
もう21世紀は、薬のみで症状を抑える治療では追いつかないことは、心ある医療関係者そして庶民が一番分かっている事ではないだろうか。

2008年8月22日(金)

Vol.18「湿熱体質恐るべし」

(カナダの気候)
長いお盆休みを頂き、初めての海外旅行という73才の父を連れてカナダに行って来た。
実は象のように腫れ上がった私の左足は、豚足(トンソク)程のサイズになったものの、まだ完全には治らないまま強行の旅に出た。
それも、カナディアンロッキーの方を目指して。
足の状態から「湿熱」である事は間違いないので、熱になるアルコールは一切断ち、油物も控え、湿にならないよう食べ過ぎず、半分量の食事に気をつけて出発した。

さて、8月のカナダは18℃~23℃で本当に涼しく、澄み切った空気だった。
みると私の豚足はみるみる小さくなり、赤みも無くなり、閉まらなかった靴のファスナーも閉まり、驚くほどの回復ぶりだった。
湿熱とは真反対の乾燥した涼しい気候に反応したのだろう。
乗馬はできる、1億年前の氷河の上で遊べる、トレッキングも出来るなどなど足の状態はすっかり良くなってしまった。
湿熱の患者さんの顔が次々に浮かんできた。連れて来てあげたいと思わずにはいられなかった。

カナダでの食事は当然ながら洋食。肉や油物がほとんどだったが気候のおかげで何を食べても胃(Stomach)はすっきりもたれなかった。
日本、とりわけ関西のこの夏の湿気と暑さ(熱)。これだけで胃の状態は悪く身体は重くなる。そこへ、過食の運動不足ともなれば病気しないことなどありえない話だ。
患者さんの中にもハワイやスペイン、グアムなどに住んでいた方も多く、問診をとると乾燥した涼しい地域にいる時はアトピー、リュウマチ、頑固な湿疹などすっかり治ってしまうんです。と一同に言われる。
気候と体調がどれほど関わりが深いか身をもって体験した。

(湿熱度チェック)
では、自分の湿熱度チェックをしてみよう。
1、朝、目やにがよく出る。
2、汗がベトベトしている。
3、便が粘っている上、臭いがきつい。
4、耳垢がいつも湿っている。
5、尿に泡がたつ。
6、虫に刺された後や傷の後が膿みやすい。
7、体臭がある。(足の臭いも含む)
8、痰が出る。
9、フケがひどい。
10、水虫がある。
11、毎日髪の毛を洗わないとべたつく。
12、蓄膿がある。
13、子宮筋腫がある。

実はこの場合、1つでも当てはまっている人は湿熱体質といっていいから恐い。
甘い物、もち(おかきも餅米)、油物、アルコール(特に日本酒)などは控えるようにしたい。湿熱の元になってしまうからだ。
「湿熱」はしつこい湿に悩まされ、また湿はすぐ熱と手を結ぶので本当にやっかいだ。
湿熱こそ最も難病にかかり易い体質といっても過言ではない。

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