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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2008年4月30日(水)

Vol.12バランスを考える

バランスの美しさ
私は小さい頃から宇宙の神秘さに魅了されているひとりだ。自転と公転、太陽と地球の絶妙なる距離など人間の技でない宇宙の妙なるバランス。もっと身近でいえば自然のバランス=調和の美しさにため息がでることばかりだ。
最近お庭で咲きましたと、牡丹の大輪やアネモネ、フリージアなどのお花を頂き、その色の美しさ、弁と花びらや花びらと葉っぱ等のコンビネーションの美しさ、個性豊かな香りなど全体の調和の見事さに自然以上に優れたバランスはないと感じる。海の中や空の変化する色も然りだ。
感動し合掌したくなることが本当に身近にたくさん有る。
そしてそのような自然のバランスの美しさに魅了されながら人間もまた何という素晴らしいバランスの下に構成されているのかと合掌したくなる思いにかられる。

バランスの乱れ
東洋医学はバランスを最重要視する。バランスの乱れを見つけることが治療につながっていくからだ。それは身体のみでなく精神のバランスも一体としてとらえるところに特徴がある。
自分自身の日常でも「食の乱れは精神の乱れ。精神の乱れは身体の乱れ」と感じることが多い。必要以上に過食になってしまう時は要注意という感じだ。
東洋医学では、そのバランスの乱れを顔色、ツボ、舌、お腹、脈などを診て触って感じ取る。また患者さんの人生や生活習慣も語りつくせないが少し振り返って聞かせていただく。
だから同じような頭痛の症状で来られたとしても、人によりそのバランスの乱れが違うので治療のために選ぶツボも違ってくる。また反対に違う症状でも同じツボを使う時も多い。
いづれにしても、こちらが体調を崩しバランスが乱れていたら当然バランスの乱れを正確に感じ取れない。純粋な気持ちで治療に当たることが本当に大事だと感じる。

上記以外にも心神のバランスの乱れ具合を診るところがある。患者さんの筆跡だ。
どの様な字体なのか、小さいのか大きいのか、力強いか弱いか、自分の名前と住所のバランスや数字や○のつけ方までみる。人間は無意識に様々なところで自分を表現しているものだ。また私はドアの開け方、また服の色まで診てしまう。
実は電話の声、話し方などからすでにもう治療モードになってしまっている。
その人をチェックするというのではなく、自然とその人のバランスがどの様な状態なのかを感じようとしてしまうのだ。

最高のバランスは?
私の鍼の師匠は常々、「だまってその人の近くに傍に行くと何で悩んでるかを感じ取れるものだ」と言われる。またその人自信が発している「気」を感じることができる。
これは人間そのものを尊敬し愛してこそ出来る感性だと思う。

治療の根底には元来大調和のとれた人間そのものを尊敬し、そして謙虚になぜそのバランスを崩してしまったのかを見つけ検討し分析していく。
バランスの乱れを「診させて頂く」という気持ちを忘れたら大自然のバランスから自分は完全に外れていってしまうと感じる。
この尊敬と謙虚さ、言葉を変えたら感謝と恩返しの精神の中に最高のバランスの妙があるように思う。

実は今、最も感謝しないといけないのは一番身近に私を助けてくれている私のスタッフだ。私の治療がやり易い様に必死で治療室全体のバランスを取ってくれている。忙しければ忙しいほど青い顔になっていく彼女をみて(青い顔は肝気の高ぶり)心の底から合掌する。本当にありがとう!

2008年4月16日(水)

Vol.11気の話

・気の存在

先日、久しぶりに東京で女性鍼灸師として活躍している親友と出合った。
私と彼女の共通点は多くあるが何と言っても「鍼灸が大好き」という純粋な気持ちだ。
出てくるのは鍼の話ばかり。時間を忘れて話し込んでしまう。
「気が合う」というのはこのことか。
「気」は目には見えないが現前と存在すると確信する。
例えは変かもしれないが、猫のしっぽを踏んだら「ふー!!」っと怒って猫の毛が逆立つ。
これは怒りによって「気」が上に揚がった状態だ。
私の友人も怒っている時ふと見ると腕の産毛が立っていた。東洋医学的には「肝気が揚がる」という。
反対に驚いて本当に腰が抜けてしまった人を目の前で見た事があるがこれは「気」が下がった状態。現代人は緊張や怒り等で肝気があがりっぱなしで、腎や腰といった下の方が弱い。つまり逆三角形型になっている人が多い。上に気が上がり不安定な状態だ。回転性のめまいや突発性難聴、高音の耳鳴りなども簡単に言えば緊張や怒りによって肝気が高ぶった為に起こるといえる。

話は反れたが日常語の中にも「気」のつく言葉が多く使われている。
元気、病気、やる気、気楽、気持ち、気合い、勇気、気長、無邪気、殺気、短気、陽気、陰気、気性、気苦労、気が抜ける、気が置けない、気を引く、気を使うなどなど・・・
東洋医学では「気」は生命活動のエネルギー源とされている。(気は気でも正気というが)
臓腑や器官の生命維持の根元でその機能活動の原動力といわれている。

・どこにでも有る気

気は有情のみでなく感情の無い非情にも感じる。ペンひとつとっても大事にしているものには何ともいえない温かさがある。
今の私の鍼灸院は、亡き母が30年間鍼灸治療をしてきた場所で、患者さんを想う母の気、楽になった事への感謝と喜びの気で充満しているようだ。
母と共に働いている時にはあまり感じなかったが、自分が携わるようになってから驚くほどそれらの気が流れているのを感じて、まるで母と一緒に鍼灸院にいている感覚にいつもなる。
患者さんが「ここに来ただけで癒される、気持ちが良くなる」といって下さる度に素晴らしい気を残してくれた母に感謝感謝の思いで合掌している。
どれ程母は鍼灸を愛していたか、今、日々鍼のすごさを患者さんから教えていただき感動している。

・驚愕の名人

奈良におられる私の鍼灸の師、藤本蓮風先生の治療所を先日も見学にいった。
少々黒ずんだ顔のお腹の膨らんだ患者さんがしんどそうに入ってこられた。
彼女は腹膜ガンの患者さんで尿が出にくく腹水でお腹が腫れているのだった。
私は先生の後ろについて見学させていただいた。
左手で患者さんの脈を診ながら、右手に鍼を持つ先生。一本一本が真剣勝負、いつも鍼を刺される姿を見ながら「これは効いている!!」と私が感じる程の誠の一本だ。
しかしこの患者さんには鍼は刺されなかった。というより刺さなくてよかった。
鍼を翳(かざ)した、その瞬間「お、脈が変化したぞ。刺さなくても気が動く時がある」といわれ、そこで治療は終了した。ほんの数秒の治療だった。
信じられないかもしれないが現実に鍼は本当にすごい!
その患者さんは直後「先生、おトイレに行ってきます!」と何ともうれしそうな顔で出て行かれた。
その足取りのなんと軽かったことか。

こんなに身近に本当の鍼のすごさを教えて下さる師の存在への恩返しは、「どんどん治して皆で不可能を可能にしような!」の師の言葉を実現することしかない。

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