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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2010年9月11日(土)

Vol.56鍼灸の本質の一端を考える

(鍼に対して)
「鍼はいいものを使いなさい」「鍼はいつも撫で回して大切にしなさい」
これは鍼灸の師匠が特に古代鍼(使い捨てでない接触鍼)を扱う時の心得として常々言われていることだ。
また、ある日、「ツボには目があるんだぞ、無闇に針先を向けたら反応する」と言われ、鍼をする時はまず針先を手の中に隠すように促された。
医療の世界でこのような発言は奇異な感じを受けるかもしれないが、私は、これら先生の一言一言に興味を持ち、とても大切にしている。

(研修生に対して)
また、研修に来る私たちのことも、本当によく観察され注意をして下さる。少しうつむき加減の研修生を見つけると、「なにかグチャグチャ考えているな、真っ直ぐに迷わずに生きなさい!」といわれる。研修生のドアの開け方、歩き方から、休んでいる時どこに寄りかかっているかまで観察されている。突然言われる一言も後で考えると本当に深い意味があり驚く事がある。

(患者さんに対して)
患者さんには、玄関から入ってこられた時からチラッと見られ、治療の前にカルテの字体なども鋭く分析される。
多くは語られない先生の一言に涙をされている患者さんも多い。本当に人間を見つめる先生の眼は鋭く、その直観力は群を抜いている。

(先生のブログに対して)
研修に行く度に、先生が最近はじめられたブログに対する思いにも感心してしまう。写真一枚一枚を丹念に選ばれ、読者が飽きない様に工夫され研修生にも意見を求められる姿。先日、「こうして「意念」を入れていると必ず人の心を打つようになるんだよ」と言われた。全てに通じる一言だ。
(心持ちの大事)
つまり、先生が常に一番大切にされている事は「心の中=心持ち」なのだ。こちらがどのような心持ちで患者さんに接するのか、どのような心持ちで身体に触れ鍼を施すのか、どのような心持ちで師匠に向かうのか、この心持ちこそが鍼灸の本当の効果の有る無しを決定していく。
また、患者さんの心がどこにあるのかを見つめ調和の方向へと指し示す。
全てが無駄なく意味のあることだと限りない楽観主義の方向へと。

(心持ちの伝染)
我母が闘病中のこと、母の隣に母より年配の婦人がベットに寝ておられた。ある朝、病院へ行くと、ガン末期の母が弱弱しい足取りでそのお隣のご婦人の口にご飯を運んでいた。
私は思わず母の手をとって代わりに食事を運ばせていただいた。母は、横で「優しい声だね、沢山の人を救っていける声だね」と珍しく褒めてくれた。
もし優しい声だったなら、母の姿に母の心持ちが私に伝染したものだと感じる。

(悲しみあってこそ)
母が亡くなって今年11月は7回忌。1秒の命の大切さを痛いほど知った病との闘いだった。母の死のおかげで、生命の火が残り少なくなっていくものへの限りない愛情が芽生えた。生きとし生けるもの全てに。
生死の境こそ、実は心持ちの大事しか通用しない恐ろしく厳しい世界なのだ。私の師匠も大切な娘さんを病で亡くされている。今でも、深い悲しみを師匠の背中に感じる。
どうしようもない悲しみがあってこそ今の仕事に携わる事が出来るのだと今は報恩感謝しかない。

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