(学術交流)
先週、中国は広州中医薬大学から老中医と若手医師が来日された。
私の所属する鍼灸グループ北辰会と広州中医薬大学による学術交流が昨年締結され、今回第2回目の交流会を日本で行う為だった。
北辰会が、大学と学術交流を持てた意義は非常に大きく、北辰会藤本代表の実践理論の深さを示す証明ではないかと感じる。
特に、代表の舌診学の臨床理論においては、中国広州側も注目し驚嘆している。
今回の学術テーマもこの舌診学を中心として行われた。
(舌診学)
舌診学は、舌を診て、内臓の状態を知り、診断治療の判断のひとつとしていくものだ。
特に陰と陽のバランスの崩れを判断する事に優れている。
東洋医学は外に現れた現象を見て病の本質をさぐる事を特徴としているが、中でも舌は、「唯一見える内臓」と位置づけ重要な診断材料となっている。
ここで皆さんでも分かる範囲で舌診について簡単に紹介したい。
(正常な舌は?)
・舌自体の色は、鮮やかなピンク。
・舌の形は、真っ直ぐ出せて、大きすぎず、小さすぎず、厚す ぎず、薄すぎず。
・舌上の苔は、白い苔がうっすらと付いていて、少しく潤って いる。
赤ちゃんや健康な子供の舌を見れば、上記の様な舌が見れるはず。
(やや病気(陰陽の偏り)を暗示する舌は?)
熱性体質の舌
・舌自体の色、または、舌の裏の色が真っ赤か暗い赤。
・舌が乾燥している。
・舌上の苔が黄色または茶色
・舌の中央の苔がはげていて赤い。
寒性体質の舌
・舌自体の色、または、舌の裏の色が薄い赤または淡白。
・舌上の苔が白く厚い苔が生えていて、潤っている。
・舌がやや腫れて回りに歯型が付いている。(尿が出にくい等 で水邪が身体に溜まっている人に見られる)
(気が上に上がっている人の舌(多忙やストレス過多))
・舌の先が特に赤い。
・舌の先、または、舌の両サイドに赤い点々が多くある。
・上記の赤い点々が、黒くなっている人は長期に渡り過度のス トレスがかかっている。
(癌など重症な疾患に見られる舌)
・舌上の苔が濃い茶色または真っ黒。
・舌上の苔が分厚くまばらに付いていて触ると剥げるもの。
・舌の色が真っ赤で、苔が全く無く、乾燥している。
・舌自体が収縮して出せない。
・舌が極度に曲がって出る。
・舌の色が薄い紫色や白色で力無く萎えてる。
・舌の表面が乾燥していて沢山のひび割れが入っている。
(舌と法則性)
これらは、舌診のほんの一旦だが、正気(生命力)と邪気(病気の勢い)の盛衰を知る上で舌診学は非常に重要で、無くてはならないものだ。
今回の講義の中でも、代表は、癌をはじめ慢性消耗性疾患の舌上と舌裏の関係を医者と協力し、CTやMRIの画像と照らし合わせその治癒の解析をされた。
多くの重症患者を診る医者が、この様に真剣に舌を見ていけば、そこには必ず法則性がある事を発見するに違いない。
実際、北辰会でも沢山の医者が東洋医学の勉強会に参加し、舌診を臨床現場で活用している。
また、専門家でなくても、ある程度の知識さえあれば、自分の身体の状況の一端を、舌を日常見る事で知る事ができる。
現実には、まだまだ、舌診を取り入れている鍼灸師は少ないが、この優れた舌診学が今後広まっていくことを切に願っている。