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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2007年3月9日(金)

Vol.10春の病症その2

ここでは春における養生法について知ってください。
古典の黄帝内経という本の「四気調神大論編第二」の中に春夏秋冬における養生法が書かれてあります。
春は早く起きなさいとか、ゆっくりと散歩しなさいとか、髪をゆるく結びなさい等など・・・

その1では様々な上焦(肩から上部)の病症は春の気候と重なって肝気の高ぶりにあるということが分かりました。
ですから上に昇る性質のある肝気を高ぶらせないことが大切です。

(肝気を高ぶらせないために)

・上に急速に伸びていくタケノコ等は益々気を高ぶらせます。それもタケノコの上部は要注意です。

・コーヒー、緑茶など覚醒作用のある飲み物も同様に気を上に昇らせます。

・油物、甘いもの、キムチなど辛いものの過食は身体を熱の方に傾けます。熱は上へ昇る性質がありますので特にかゆみ疾患
のある人は注意が必要です。緊張が続いたり(多忙過ぎても)イライラすると多くの人は甘いものを取りたくなります。それは甘いもので高ぶった肝気をゆるめる為です。緊張すれば緩和したいと身体が働きますので甘いもので緩めようとするのです。その中でもチョコレートを特に好む人はかなり肝気が高ぶっているとみていいでしょう。少しならいいのですが過食は脾胃に悪影響をあたえます。

・香りでも食べ物でも柑橘系(みかんなど)を好む人は肝気が高いです。このようなさっぱりとした匂いは理気作用といって滞っている気を通じさせめぐらせる作用があるので好むのです。

・肝の臓は伸び伸びを好みますので、身体につけるもの(下着やベルトなど)はきついものにせず、緩やかなものにしましょう。また、髪の毛もゴムできつく結んだりしないように。

(肝気の高ぶりは腎に影響する)

上に気が昇れば、相対的に下がおろそかになり逆三角形のように不安定な状態を作り出します。
つまり、気を下に下げて安定させることが大切になってきます。よく丹田に力を入れてなどいいますね。武道などでも皆この丹田、おへその下に重心をおくようにしますね。
下半身を丈夫にすれば気は下に降りて肝気は昇りにくくなります。下半身の中心は腎にあたります。
肝気が高ぶると相対的に腎が弱りますし、また腎が弱い人は肝気が高ぶりやすくなるともいえます。

中医でいう腎が弱いとは、西洋医学でいう腎臓自体の機能も指しますが、一言で言ったら老化現象です。
つまり、白髪、腰が痛い、骨がもろい、尿切れが悪い、尿が漏れる等などです。

(下半身である腎を弱らせないために)
・下半身を冷やさない。
・果物、生ものなどは身体を冷やしますので過食しない事。
・塩分をひかえる。
・過剰なセックスは禁物(腎精を漏らします。腎精は最も大切にしないといけない根本の元気です。
・よく歩く。(ゆっくり)
・バランスボールや複式呼吸、乗馬など下半身に重心を持ってくるような訓練をする。

肝気の高ぶりも腎の弱りも、遺伝(顔が似るように体質も似る)なども併せ人により程度の違いはありますが、ちょっと早い老化現象が出ていないか考えてみてください。
また腎の弱りは眼でみて顔と腰に出やすいです。
口の周りがほかと比べてうっすら黒ずんでいたり、腰の回りが黒ずんでいたり白く抜けていたりしていませんか?
腰痛の多い人は基本的に腎が弱いと見ていいでしょう。
全てはバランスです。偏りのない生活をお互い気をつけて肝心要の肝と腎を守っていきましょう。

2007年3月8日(木)

Vol.9春の病症その1

.春先における病症
「冬は必ず春となる」逞しき楽観主義が込められていて私はこの一文が大好きです。
冬の枯れ木は閑散としているようですが、この冬にこそ動植物は栄養を蓄え、春に備え準備を着々と進めています。
この栄養分こそが草木が見事に芽吹く条件の一つになります。
しかし、春先には花粉症、結膜炎、胃痛、イライラ、過食、めまい、眼瞼けいれん、突発性難聴、耳鳴り、のどに何か詰まった感じ、肩こり、脇が張ったり痛んだり等など様々な病症を引き起こします。
これらは、五臓六腑でいえば全て「肝の臓」が中心の病症です。花粉症などもいくら花粉が飛んでいるといっても平気な人もいます。花粉だけを退治しても自分自身の体質というその奥を見つめなければ、根治には到らず薬で抑える対処療法に終始してしまします。

・春は肝気が昇る
春は中医でいえば「肝」にあたります。「肝の臓」は縛られたり、抑圧されることを嫌い、春に草木が芽吹くように上へ上へ伸び広がっていくことを好みます。
つまり肝の気は上へあがる性質があるのです。
日頃から多忙で、緊張状態が続き、頭に血が昇っているような生活をしている人は、それが抑圧となり肝の気が常に上がっている状態です。
そこへ日本中の草木が春になり上へ上へ伸びていくので、ストレスなどで日頃から昇らせてる肝気が益々上へあがり身体の上のほうに症状がたくさん出るのです。
逆三角形のような状態でとても不安定になりめまいや耳鳴り(高音)などがでます。

・自分で知ろう肝気の高ぶり
花粉症のあなた、肩から上のほうに症状がたくさんあるあなた、鍼は勿論気を下げる最高の方法ですが、まずは自分がどれほど普段から肝気を高ぶらせているかを知ってください。
まずは多忙でリラックスする時間が少なくイライラすることが多いひとは間違いなく肝気は高ぶっています。
その他、顔面診と舌診から肝気の高ぶりを見てみましょう。
顔面診
・お風呂上りが一番わかりやすいです。鼻の中央辺りが白く抜 けた感じになっている。丁度Vの字を逆さにしたように。
・眼の回りが青白くなっている。
・どちらかというと赤ら顔。
舌診
・舌の先が赤くなっている。
・舌の両サイドの苔が剥げていて回りと比べて赤くなっている
・舌の先から両サイドに赤い点々がある。
・舌がかなり赤く乾燥している。

皆さんはどうでしたか?舌は唯一見れる内臓の一部です。
毎日舌を観察してみて下さい。
次回は、ではどうすれば肝気を高ぶらせてしまうのか、また、肝気を高ぶらせないために自分でできることをお伝えしたいと思います。お楽しみに。

2007年2月20日(火)

Vol.8「脾胃こそ健康の宝」その3

(脾胃を守るための10項目)

・腹八部実行。
・油物、塩分は意識して少なくする。
・夜9時以降の食事は完全和食で。
・よく咀嚼して食べる。
・激辛料理は避ける。
・よく歩く。(1日45分以上)
・運動できない人は朝ラジオ体操かエスカレーターなど使わず 意識して階段を使う。
・友人に話すなどストレスを溜め込めない。(ため息注意)
・寝不足にならないよう生活を見直す。
・梅製品を取るようにする。(梅肉エキスや梅ジュースなど)
・タバコはひかえる。

脾胃の弱い人は10項目の半分以上は出来ていないと思います。
ストレスがたまると胃に熱がこもり過食に過食が重なりますが普段からこれらを意識するのとしないのとでは、数年後に大きな差が出てきます。
日本人は農耕民族ですので本来腸も長く菜食こそが身体にあった食事なのです。
食生活に教養をもって共々に脾胃を守っていきましょう。

(舌をみて脾胃の負担を確認しよう)

案外身近で健康の基準となる身体の反応は見落とされています。その一つが舌です。
脾胃に負担がかかっていることを自分で確認するために自分の舌を見る習慣をつけましょう。

簡単に言えば、正常な舌は下記のとおりです。
・舌を出したとき、まっすぐで曲がっていないこと。
・出したとき細かく震えてたりせず、静止できること。
・舌全体にうっすらと白い苔(こけ)がついていること。
・適度に潤っていること。
・舌の質の色が白過ぎず、赤過ぎず、紫色っぽくもなく、淡い赤である。
細かく言えばいろいろありますが、大体でいいです。チェックしてみてください。

次に脾胃を痛めている人の舌です。
・苔が分厚く削ってもはえてくる。
・苔で覆われすぎていて舌の質の色が見えない。
・舌の苔が地図のように所々はげている。
・舌の中央が周りと比べて特に赤みがきつくはげている。
・舌がとても赤く乾燥している。
などなど、一項目でもあれば、要注意です。舌は様々に変化しますが、内臓の状態を見るための目安となります。
脾胃の異常は苔の厚さと、舌の中央あたりの異変にあらわれます。苔が厚い人は特に食べすぎは厳禁です。

2007年2月3日(土)

Vol.7「脾胃こそ健康の宝」その2

ここで「脾」と「胃」に分けてその病理を見ていきましょう。
はじめに「胃」についてです。「はい」の数をチェックして下さい。

・胃の辺りがよく痛む。
・食べるともたれる時がある。
・よく胸焼けする。
・ゲップがよく出る。
・しゃっくりがよく出る。
・過食すると吐き気がする時がある。
・食べるともたれる時がある。
・背中で胃の後ろ辺りが痛むときがある。
・便秘するほう。
・口臭がある。
・ガスがよく出る。
・普段から大食してしまう。
・食べるとよくお腹が張る。

はいの数が5つ以上ある人は胃にかなり負担がかかっています。
胃は食べたものを受け取り消化させ小腸に送り込みます。
また、胃の「気」の動きは食べたものを下に降ろす「下降」が主となります。これらに異常が出れば食べたものが下に降りず逆に上がってしまいゲップ、しゃっくり、嘔吐などが生じるのです。

次に「脾」について見てみましょう。同じく「はい」の数を数えて下さい。

・下痢し易い(軟便傾向)
・食欲がない時がある。
・食後に眠たくなる(昼以外でも)
・胃下垂(子宮脱、脱肛なども)になった事がある。
・むくみ易い。(特に足)
・雨天時、梅雨に調子が悪い。(身体が重いなど)
・立ちくらみする事がある。
・眼の下にくまがよくできる。
・顔にしみが多い。
・上瞼が落ちてくるような感じがする。
・すぐ横になりたがる。
・不正出血したときがある。

5つ以上「はい」があった人は脾の臓が弱っていると思ってください。
脾は食物の消化を更に進め消化された栄養物質の吸収と運化(栄養を全身に運ぶ)の役割を担います。
また、脾の「気」の運動は胃とは逆で「昇」が主で、上に持ち上げます。ですから、その作用が弱ると持ち上げることができず内臓下垂、眼瞼下垂などが生じるのです。
また、脾は血液を作る大元ですので脾が弱ると貧血状態になり易く立ちくらみなどが生じます。
脾は形は「脾臓」や「すい臓」、機能は「すい臓」と「小腸」など様々な説がありますが、明確には述べられていません。
しかし形はなくてもその機能は重要な役割を担っています。
まさに「脾」と「胃」は健康を保つ上で中心となるのです。
次回は脾胃を守る方法を考えていきましょう。

2007年1月14日(日)

Vol.6「脾胃こそ健康の宝」その1

・運動と飲食のバランス
年末・お正月とほとんどの方が身体を動かさず飲食過多になっているのではないでしょうか?
7日は七草粥を食して胃の疲れを取る習慣がありますが、昔は飲食も質素、乗り物なども便利でなく人々は皆よく身体を動かしていたことでしょう。その上七草粥の習慣を重んじ胃を守ってきました。
現代は運動と食べる量のバランスが悪すぎて皆糖尿病など多くの疾患を患っています。飲食した分歩いたり運動しただけでどれほど病気にならずにすむ事でしょうか。
さて、東洋医学では「胃」を「脾胃(ひい)」という概念でくくり五臓六腑の中で最も大切にしなければならない中心的な所として重要視しています。
いかに脾胃を守ることが大切か、またここから様々な疾患を発生させるという事を知ってください。

・脾胃と石臼の関係
近松門左衛門の弟といわれている岡本一抱という人が脾と胃の関係を石臼(いしうす)に例えて説明しています。
上側が「脾の臓」、下側が「胃の腑」、取っ手を「手足」、穴に入れる豆は「水穀」とします。
取っ手(手足)を動かすと脾の臓が動き、胃の腑に入った飲食物(栄養)を揉んで消化吸収できるように細かくくだいていきます。
つまり、胃の腑は飲食を受け取る「受納」という作用。
脾の臓はその飲食(栄養素)をくだき(それらを水穀の精微という)栄養を全身に運化(運ぶ)していきます。
何を運化するのかを分ければ、飲食物の運化と水湿の運化になります。
したがって胃の腑に受納したものを砕いて栄養素に変えていく脾の臓の働きを促進するためには手足を動かさなければならないのです。それが歩くなどの運動にあたります。

・脾胃の「気」の作用
脾の気は昇(昇ります)
胃の気は降(下降します)
脾の気は栄養と水液を吸収輸布し、心肺まで輸送するという運化作用があります。
胃の気は食物を消化させ下に送るという下降作用があります。
また、脾胃で作られた栄養素が血液となったものは血管内を廻り、血管外の水液は津液(しんえき)と呼ばれ全身を潤します。
さらに「脾胃の気」のことを「胃の気」と呼び最も大切な気として重要視します。胃の気は生命力そのものを指します。

・脾胃の喜と嫌
胃は潤(うるおい)を喜(この)み、燥(乾燥)を嫌います。
脾は燥(乾燥)を喜(この)み、潤(うるおい)を嫌います。
陰陽で分ければ、胃は陽、脾は陰ですので、胃は熱をもち易いので潤(うるおい)を好み、脾はもともと陰なので湿(陰)邪に弱いのです。
脾が弱い人は、雨天や梅雨の季節になると調子が悪くなり易く、下痢やむくみの症状が出やすくなります。
また、ストレスや過食などにより胃に熱を持つとますます過食になり便秘(コロコロなど)や口臭などが出てきます。
詳しい病理は次回をお楽しみにしてください。
東洋医学の言葉に慣れるまでは難しく感じると思いますが非常に理に適っていますので是非何度も読んでみてください。

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