患者さんには毎日、教えて頂くことばかりです。それも、単純で簡単な教えではありません。
今、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の患者さんを診させて頂いてます。
これは、手足や喉、呼吸に必要な筋肉がやせて力がなくなっていく病です。筋肉そのものでなく、動きを指令する神経の障害と言われています。知能や感覚は全く正常です。
有名なイギリスの理論物理学者、ホーキング博士も罹患されておられます。私の患者さんも、ホーキング博士の様な、風格と親しみが混在したご尊顔です。同じくご自分の意思で体を動かす事が出来ません。
先日、ご家族の方が、最近しんどそうなんです…と言われました。しんどいんですか?とお顔を近づけて伺うと、
「しんどくないけど、中々呼んでも来てくれない」
それはそれは時間が長く感じますね。
「だから、歌を歌って時間つぶししてる」と言われました。
言葉をご家族よりちょっと先に聞き取れた嬉しさも伴って、思わず爆笑してしまいました。患者さんも、ははっ!っと何時もの笑顔です。何気ない会話ですが心揺さぶられました。
精神は宇宙大です。このような患者さんに触れさせて頂き、人間の心の偉大さに驚かされます。共に歩ませて頂き感謝致します。