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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2011年3月9日(水)

Vol.65花粉症

(花粉除去に躍起?)
今年は昨年の10倍~30倍の飛散量とも言われている花粉。
今や国民病ともいうべき多くの方が困っておられる。
3月中旬にはピークになるらしい。
普段から鼻水、くしゃみ、目のかゆみなど持っておられる人はゾッとしているのでは・・・
また、ここぞとばかり、マスク、空気清浄機、ゴーグル、加湿器など花粉を取り除くグッズがずらりと並び飛ぶように売れている。花粉をいかに取り除き、吸い込まないように、身体に付着しないようにするかに躍起になっている。

(花粉症の原因って?)
しかし、よく考えてみれば花粉症になる人とならない人がいるのも現実。一般には「昭和30年代に植樹された杉が花を付け始めたのが昭和39年ごろだから・・・」や「白血球の肥満細胞と花粉が反応してヒスタミンが出るのが原因」など言われている。確かにその通りかもしれないが、やはり、どれも根本原因は花粉としている。
東洋医学では、症状の引き金は花粉かもしれないが、花粉症を発症する根本原因をその人自身の身体に求めている。
つまり、体質(その時の身体の状態)によって発症する人しない人がいて、その上、体質によって(同上)、目にひどく症状がでるか、鼻水がひどいか、皮膚なのか、くしゃみなのか、それぞれその違いを説明している。

(気候と身体の関係)
昨年から、(社)北辰会(藤本蓮風先生を代表とする鍼灸の学術団体)の中で、「内経気象学勉強会」というものを橋本浩一講師を中心に少人数で開催している。
先日は講義の中で「花粉症」のメカニズムについて勉強をした。そのほんの一部を、肝を中心に簡単に説明したい。
春は風木(ふうもく)といい気温が上昇する事によって、木気(もっき)である肝気が通常より高ぶりやすくなる。
肝気が高ぶる事によって春はやる気が出たりするのが正常な状態である。東洋医学では、何事も「過ぎる(実)」や「不足(虚)」に着目してそのバランスをとっていく。
よって、普段から心身ともに緊張状態やストレス過度の生活を続けていると肝気が高ぶり「過ぎ」、イライラ、肩こり、めまい、頭痛、耳鳴りなどが起こりやすくなる。そこへ春の木気により更に肝気が昇ってしまう。

このように、肝気が高ぶりすぎた状態を東洋医学では「肝気上逆(かんきじょうぎゃく)」と呼ぶ。

(花粉症のベースは肝気上逆)
この肝気上逆をベースとして、花粉症は様々な場所に発症する。例えば、元来、肌に湿熱(おできが出来易かったり、蚊に刺され易いなど)が有れば、花粉は肌を襲い、まぶたが紅く腫れあがったり、痒みが肌に出る。
また、ストレス過多で肝気が普段から高ぶっている人は、目の痒みが酷くなったり涙が出る。
更に、気の廻りが悪かったり、脾の臓(胃腸)が弱っていると身体の水分代謝が上手くいかず、肝気上逆によって、肝気が水邪を吸い上げポタポタと鼻水が出る。
(身体のバランスは頭寒足熱)
慢性化すると鼻閉したり鼻水が黄色くなり治りにくくなる。
その他、下半身が冷える(腎の弱りでも)と肝気が上り易くなり、肝気上逆が助長される。今、頭に熱感、足は冷えている人の何と多い事か。本来は頭寒足熱であるのがバランスのとれた姿である。
それが、肝気上逆し、頭熱足冷に逆転してしまっている。
下半身(腎、膀胱など)が弱い人は、腰痛になるなど下に症状が出やすくなるのもこの時期の特徴である。

ある一般の人が、食事を油物から和食に変え、運動をするようにしたら便秘が解消され、と共にひどかった花粉症が全く無くなったという。まさに、花粉のみが原因でないことの証明である。
花粉のひどい人は、薬での対処療法のみでなく、自分の体質を知り、生活習慣を見直し、肝気上逆しないようにする事が非常に大切である事を知っていただきたい。

鍼灸こそ、身体の上下左右前後のバランスを上手くとっていく治療であり、花粉症だけでなく病の根治を可能に出来る。

書籍の紹介:
★「アレルギーは鍼で治せ」 藤本蓮風著 双葉社
★「内経気象学入門」―現代に甦る『黄帝内経』による気象医 学―橋本浩一著 緑書房出版
★上下左右前後の法則 藤本蓮風著 メディカルユーコン社

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