大漢和辞典の文字は極小。
「黄帝内経霊枢注証発微』(馬蒔)
先日、父の遺品を整理していたら、貴重な本の数々が出てきました。
その中に、諸橋轍次氏の『大漢和辞典』がありました。
そして偶然にも次の日、某新聞一面に、諸橋轍次記念館館長が大漢和辞典について語られてる記事を目にしました。
この大漢和辞典は、総計約1万5千ページに及ぶ世界最大の漢和辞典で、
途中戦火で焼失したりして、構想から完成迄30年以上の歳月を要したそうです。
文豪吉川英治が「『大漢和辞典』刊行の成果はそのまま、日本文化のバックボーンになるものといってよい」と高評価の辞典です。
その不屈の心を育んだ原点は、故郷愛と親孝行の心だったと館長は言われてました。偉大な業績を残される方には必ず深い原点がありますね。
諸橋氏が携わった13巻の後、14巻の「語彙索引」、15巻の「補巻」の2巻が弟子の手で追加されました。師匠の思いを受けたこの弟子の心にも感動します。
諸橋轍次さんの座右の銘は、「行不由径」(行くに径(こみち)に由(よ)らず)という論語の一節だったそうです。
「径(こみち)は近いように思うが、行ってみると藪があったりして、そうはいかないんだよ。人より先に行こうなんて考えるんじゃなくて、ゆったりと大道を生きていく方が人間としていいんだよ」というのが口癖だったようです。
地道な根気の要る大偉業を成し遂げるために、ご自身に言い聞かせながら頑張っておられたのでしょうね。
全てに通じる真理です。