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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2013年12月20日(金)

ADHD(注意欠陥多動性障害) []

神戸市在住 男の子 5歳
主訴:ADHD
初診日:H25年8月

(現病歴)
現在、集中力が続かずジット出来ない事や、自分の意思を上手く伝えられないと怒りだしそれを治めるのに30分はかかり、集団生活に支障がある。今年の春、病院にてADHDと診断される。
(既往歴)
1歳の時、風邪から咳が長引き病院で喘息と診断される。3歳ごろ環境が変わり風邪から喘息を発症し入院するようになるが気管支喘息の薬(3種類)を服用してから現在まで発作はおこっていない。

(その他の情報)
・運動すると落ち着く。
・顔や頭に汗をかき易い。
・小便回数1日10回。
・目の下にクマがきつい。
・特に夏に鼻血を出し易くたまに止まりにくい。
・過食、早食い。
・10歳以上歳の離れた兄2人の3人兄弟。

(体表観察情報)
舌診:紅舌、白膩苔、舌尖紅点。
腹診:胃土邪、右肝之相火実、
背候診:右腎兪やや虚、左肝兪から胃兪実熱。

(診断と治療)
初診時、人の話しを注意深く聞けるとても敏感な子だと感じました。2人の歳の離れたお兄さんに囲まれているため、自分にも出来るという自負と、実際にはついていけない葛藤から日常的にイライラが蓄積していったと思われます。体表観察所見と、その他の情報からも、肝気の高ぶりが抗じ熱化したため、金切り声を上げたり、落ち着きが無くなったものと考えました。

治療は、左の肝兪と胃兪というツボに古代鍼(刺さない接触鍼)にて治療し、肝と脾胃の熱を取るようにしました。

(結果)
2診目から信頼してもらえたのか治療も落ち着いて受けてくれ、受け答えもしっかりできました。3診目には「今日はひとりで寝る」と言うほどに。
6診目にはお母さんのママ友にも「落ち着いたね」と感心されるようになり、10月の運動会では最後まで皆と同じように終えることができ喜ばれています。園の先生方も認めるほど落ち着き、同時にお母さんのお顔も本当に穏やかになられました。お母さんの安心はご家族に好循環をもたらします。これからも平和なご家庭でありますように。

2013年7月17日(水)

アトピー性皮膚炎(子):潰瘍性大腸炎(親) []

川西市在住 10ヶ月 男の子 
主訴:アトピー性皮膚炎
初診日:平成25年1月末

(子どもの現病歴)
生後3ヶ月から頚、頭(側頭から後頭部)、両脇部に湿疹が出現し、次第に顔、足、背中、お腹と全身に広がっていく。
発症当時は、ジクジクした滲出液を伴うものだったが、現在は乾燥しカサカサしている。
年末にステロイドを塗るも変化しなかったため、今年になり、強めのステロイド剤を使用する。緩解したもののそのステロイドを中止すると再発する。
自分で掻いて酷いときは出血する。便は1~2日に1回、軟便。二便共に臭いはきつい。

32歳 女性
主訴:潰瘍性大腸炎
初診日:平成25年2月末

(母親の現病歴)
昨年2月(妊娠6ヶ月頃)から、1日3回便通があり毎回、血便が出ていた。排便後はスッキリしていたものの貧血症状有り。妊娠中のため検査もできず様子を見ることに。
妊娠中、チョコレートや生クリーム等の甘いものや、油物を多く摂取していた。
現在も油物を摂ると血便がでる。夏は冷飲や炭酸を飲み悪化。泥状便に白い粘液混じりの血便になってくる。
8月末、無事出産したものの、次の日から腹痛直後に同上の便が何度もあり、貧血のため顔面蒼白に。9月から本格的に検査。潰瘍性大腸炎と診断される。
薬を(1日9錠)を1ヶ月服用し、軟便になる。生クリーム、ラーメン、カレー等の油物を食べたときだけ同上の血便が出る。
既往歴は、小さい頃から、アレルギー性鼻炎、10代顎関節症、20代子宮内膜症。出産してから風邪を引きやすくなったが、風邪を引いても病状の変化はなし。

(診断と治療法)
お子さんは、ご両親の体質、妊娠中の母体の精神状態や飲食物の影響を大きく受けます。母乳中は尚のことです。母親が陽に傾き易い物の摂取過多により、アレルギー体質の親の影響も受け、アトピーが発症したものと考えました。
時々、疳の高い声を発してますので、清熱(熱をとる)し、肝気を下げるように、古代銀鍼で治療を施しました。

お母さんは、問診と体表観察からその原因を考えてみました。脾腎の弱りが、ツボの状態から推察できます。3度目のご出産ということ、胃腸に負担のかかる飲食物の摂取過多、多忙等々が主な原因ではないかと思われます。脾腎は元気を産む大元ですので、他臓に影響を及ぼします。
ツボの状態は、特に右の肺兪中心に心兪の虚(弱り)が大きく、これが、上焦の肺と表裏関係にある下焦の大腸に影響が及んだのではないかと考えました。

(治療結果)
お子さんは、便通が良くなり、治療をする度に顔の赤味が取れていきました。便通と痒みは関係が深く、お通じをつけてあげると、疳の虫も治まり、疳の虫が治まると痒みや赤味も取れていきます。(写真添付)
お子さんとお母さんは心身共に一体不二です。この例も、お母さんが大腸の病、お子さんが皮膚の病です。皮膚は肺と関係が深いですので、肺と大腸は上記の通り表裏関係にあります。

お母さんには、「特にこのお子さんとは色んな面で関係が深いと思いますので、お母さんが良くなればお子さんも良くなりますし、またその反対も考えられますね」とお伝えしました。

その通り、お互いに改善されていきました。お母さんも便通時の腹痛も無くなりました。今では、ご紹介下さった義理のご両親、アトピーの子のお兄ちゃんも来てくださり、ご家族3世代でお体を診させていただいています。
鍼を信頼してくださり心から感謝致します。


初診時


15診目


初診時


15診目


初診時


15診目

2013年6月8日(土)

亜昏迷様状態(頭がぼ~っとする)・頭痛 []

西宮市在住 30歳 女性
主訴:亜昏迷様状態(頭がぼ~っとする)・頭痛
初診日:平成25年2月中旬

(既往歴~現病歴)
幼児期から肩こりがあり偏頭痛(眉間)から嘔吐することがよくあった。10歳の頃、急性腎炎発症。中学になり生理が始まると、生理前に必ず過食になり頭痛(こめかみと目の奥)が起こる。生理後、過食は治まり、頭痛もやや楽になる。
風邪も引きやすく、風邪を引くと扁桃腺炎、高熱、中耳炎になっていた。
職場ではパソコン作業が殆どで、肩こりや冷えのぼせが酷くなり、腰もだるくなるが、ヨガやダイビングなど運動をしてストレスを発散していた。

昨年、秋、ダイビングに行って軽い減圧症になり関節痛やめまい、耳鳴り等が出現。特に、この後から、頭に酸素が届いていない感じで、頭に膜が張ってるようで、思考が回らなく頭がぼ~っとするようになる。

ヨガにいっても身体はスッキリするものの、頭はぼ~っとして頭と身体が分離しているように感じる。それは、蒸し暑さや飲酒、油物の摂取過剰の時に悪化し、寒い時や休日はマシになる。この症状は病院でも治らず、ホームページにて来院される。

(その他の問診事項)
・今まで入浴で身体はスッキリしていたのが主訴発症後スッキリ感はなくなる。
発汗後、運動後疲れるようになる。
・月経2~3日前から2日目ごろまで経痛有り。主訴に変化は無し。
・よく胃が痛くなる。

(主な体表観察情報)
顔面診:青白色で非常に肌理が細かく光沢あり、肝・腎色抜け。
舌診:老舌(しっかり出せる)、紅舌 若干色褪せ、白~黄膩苔(中焦から下焦)、両舌辺剥けと紅点多数、舌腹紅色。
脈診:1息4至、枯弦脈、幅脈力共に有り。
原穴診:全体的に左が虚でトップは太溪と照海、神門。右は実が多く合谷、太衝の順。
背候診:巨闕兪と神道の1行、2行線左きつい実でその反対が虚、右の肝兪から胃兪実。右の腎兪から志室の繋がった虚。
腹診:心下虚、左脾募実、右肝之相火実、左天枢虚。

(診断治療と考察)
幼児期からの嘔吐や偏頭痛、また生理時に頭痛になることなど、全て上部に症状が現れています。その上、会社でのパソコン作業で更に気が上に上がっている状態です。
元々遺伝的にも腎の蔵が弱いこともあわせて下半身が不安定になり、上下のバランスが崩れていたと思います。上下が崩れれば、左右にも影響がでて全体のバランスが乱れていきます。

体表観察と照らし合わせても、左右、上下のバランスが崩れている事が分かります。
よって、左右を整えながら上下も調える治療方法を意識しました。

初めは、足の照海で下部を補いながら上下左右を整え、次に手の後溪を使い、上部を中心に上下左右を調節していきました。これで、胃痛が良くなり気分も楽になってきました。

しかし、12診治療をしても頭のぼ~っとした感じがとれず、偏頭痛が出てきたため、鍼を刺さない打診治療に切り替えました。
すると、たまに出ていた偏頭痛もなくなり、頭がぼ~っとする感じもかなりマシになってきました。ご本人も、「あのコンコンは何ですか?すごい・・・」と言われるほどです。

現在、22診目です。仕事が多忙な時など頭が痛くなる事もありますが、かなり回復が速くなり打鍼の効果を実感しています。上下左右が大きくバランスが崩れているとき、かつ、実もあるものの虚にウエートががより傾いている時、更に、精神的な疲労度合いが大きい時などを考えると打鍼の方が効果があると思います。

鍼灸治療と共に、好きな運動をして、上手に発散しながら日々のストレスを悠々と乗り越えていっていただきたいです。

2013年5月24日(金)

慢性肩こりと糖尿病 []

川西市在住 62歳 女性
主訴:慢性肩こりと糖尿病
初診日:平成25年3月初旬

(現病歴)
出産を終えた30代から働き出すようになり、ストレスがかかると、今までの油物の多い食事に加えて、お饅頭、ケーキ、カステラ等々甘い物を更に食すようになる。40代に職場で女性同士のトラブルがあり、精神的にも疲れていたところ、検査すると糖尿病が発覚。
歩くようにしてから、体重も減少し、調子も良くなってくるが、閉経をきっかけにホットフラッシュや肩こりも酷くなり、イライラし易くなる。同居している実母の体調が思わしくなく、今まで手伝ってもらっていた家事の負担がかかり、眠りも浅くなる。時々、3時~4時に目が覚めてから眠れなくなる。現在は甘いものに気を付けてはいるものの、糖尿の数値(グルコース値、HbA1c)は不安定で両方とも正常値になった事がない。
肩こりは、動かしたり入浴や散歩でましになり、神経を使ったりイライラしたときや静止時に悪化する。冷えると腰痛が出る。鍼灸院にはご近所の友人の紹介で来院される。

(その他の問診事項)
・口渇:咽喉の渇きがあり、緑茶、紅茶、ハーブティー等温かい飲み物を一気に飲む。
・大小便:環境変化や精神的緊張で便秘する、夜間尿1回(閉経後から)。
・排泄物:少汗(額、首、腋下、殿部、足底など)寝汗無し、目やに有り。
・目・爪:目が疲れてゴロゴロする、爪は割れやすい。

(負荷試験)
・入浴時間30分でスッキリして疲労感がとれる、1時間散歩でスッキリ。

(体表観察情報)
・顔面気色診:黄・赤。心・肝・腎・胃。・舌診:淡紅舌、中焦~下焦の白厚膩苔、湿潤、舌下静脈怒張。脈診:1息4至、弦脈、脈幅やや無し、左尺位弱。原穴診:左後溪、右太衝、左合谷、左申脈。背候診:右肺兪から心兪虚、左肝兪から胃兪実。左腎兪と志室虚冷。腹診:心下、左肝之相火、臍周邪。

(診断と治療)
以上の情報から、頑張りすぎる事から、精神的にも緊張し気が上にあがり過ぎて肩がこる事、年齢的なものからも腎の弱り(陽虚=冷え)がみられ、更に上下のアンバランスが生じています。この2点から治療配穴を考えました。糖尿病も精神が安定すれば過食にも走らなくなり、脾胃にも負担がかからなくなりますので治癒していきます。

初診のみ実側の後溪(左)に10分置鍼し上部の緊張をまず緩めました。2診目から7診目まで冷えて虚している方の申脈(左)に25分置鍼し下部を補って安定させます。

(治療結果と考察)
1診目の舌写真(治療前と治療後 下記添付)からも分かるように、非常に気の動きがいい方ですので、治りも速いとみました。舌ですが全体的に赤みが無かったものが、赤味が出てきた事、また、舌先の紅点が多く見られるようになったことから、沈んでいたものが浮いてきたのではと考えました。その後、申脈に治療を施すと見る見るうちに中央から奥にあった厚い苔が薄くなってきて身体が改善されてきました。(下記写真添付)

7診目の検査結果で糖尿の数値が初めて正常値になり大変喜ばれていらっしゃいます。
このように気の動きの速い人は数回の治療でも長年の病が治っていきますし、喜びの気持ちが更に気の巡りを良くしていきます。いい循環になり本当に嬉しいです。

東洋医学では、病名は病を大きく捉えるために(熱傾向なのか冷なのか云々)必要ですが、基本的にはどのような病名であっても、ツボの状態等をみて総合的に判断し、何故今の病が発症したのか、また今はどの位置に病があるのか、更に今後の状態をも予測していきます。
ですから、難病といわれるものも治っていくのです。


初診時 治療前


初診時 治療後


8診目 舌背


8診目 舌腹

2013年4月30日(火)

眼瞼痙攣(がんけんけいれん) []

西宮市在住 48歳女性
主訴: 左側の眼瞼痙攣
初診日: 平成25年2月下旬

(現病歴)
2ヶ月前から主訴発症。当時、1日10時間以上のパソコン作業により、睡眠時間が乱れ、左の肩こりから両方のコメカミが締め付けられるようになる。
左眼瞼痙攣は、毎日1分程続き、多い日は3回から4回も起こり、頬まで痙攣するようになる。1年前の冬も多忙時、同症状がでていた。
パソコン作業も少なくなったにも関わらず、痙攣は治らず、睡眠障害も続いているため、同業者の紹介にて来院される。

(その他の症状)
・右の背中中央辺りから膝裏にかけてだるさがある。
・よく便秘をする。
・目がかすむ。
・3年間、毎朝1時間のウオーキングをして体調も良かったが、 以前からあった右の腰のだるさが悪化するようで中止する。
・約2年前から月経量が減少傾向になる。
・他覚的に下腿のむくみがある。

(主な体表観察)
舌診: 紅色 白膩苔 右舌辺と舌先の剥け。
脈診: 1息3至半、滑弦脈、脈幅やや少。
腹診: 心下から左脾募の緊張、右少腹急結、臍下不仁して腹張強。
原穴診: 全体的に左虚、右合谷と申脈実、左三陰交実。
背侯診: 左厥陰兪から心兪実、左肝兪から三焦兪持ち上がりの実。胞こう冷感。

(診断と治療)
上記の情報から、長年の無理などにより「腎の蔵」が弱っていたところ、長時間のパソコン作業などで過度に上部に気を昇らせた事で起こった眼瞼痙攣と診断。(腎の蔵は土台と考えれば、土台が弱ることにより、ストレス等で気のバランスが上部に偏り易くなる)

また、痙攣には様々な機序があるものの、基本的には、血液が筋肉を潤す事で、筋は正常に働きます。この場合、「気」が有余になり過ぎて、陰陽関係にある「血」が相対的に不足したことが原因ではないかと思われます。

よって、太衝の虚側に鍼をし、陰血を補う事で、昇った肝気を下げる方法をとりました。

(治療結果)
1回の治療で身体が緩み、眼瞼痙攣は消失。右の腰痛も9診目にはほとんど感じなくなる。左足がたまにつる事があるくらいになり、体調はよくなりました。

(考察)
一回の治療でこのように良くなった事は、驚く速さと思われるかもしれませんが、長時間のパソコンもやめられた事や、現在やめておられたウオーキングなどの再開なども功を奏したと思います。養生が良ければ鍼の効果は倍速になるためです。

1本の鍼治療で陰陽のバランスを取ることが、どれ程効果があるか実感して頂けたと思います。

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