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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2023年4月1日(土)

「中学生の特発性側弯症」 []

14歳女性 中3 2022年11月来院

【病歴】

同年6月に「特発性側弯症」の診断を受ける。背中の筋肉は、左側が側弯のため、かなりもち上がり右との左右差が顕著。

更に、中学生になった頃から歩行中に両膝が不意に痛む。痛みは片側ずつ出現、痛みの強さ、頻度ともにL>R。X線は異常無し。

また、来院の10日位前から、左股関節(外側)がズキズキと痛み、その後、持久走後に右股関節(外側)、右腰もズキズキと痛む様になった。

【その他の所見】

◎6年生の時、帯状庖疹になる。

◎吹奏楽部ではバリトンサックス演奏の為カバンがかなり重い。

◎中2から塾に通うも先生と合わずストレス過多。

◎中3、10月にコロナ陽性、39°近い熱2日続く。喉痛。

◎中3になってから、入浴後に背中と胸部の痒み出現。

【病因病理】

元々、食も細く無口な女性で、発散するのが苦手。様々なストレスを心にため込んでしまうタイプのようです。また、食少や嫌なことがあると腹痛下痢になる事から、脾の弱りがベースにあると考えます。中学に入り、我慢強い性格ゆえ、肝鬱傾向(ストレスによって発散できず気が停滞する)のところ、嫌な塾をかなり我慢して通い、背骨が変形していったと考えます。

これは、まだ成長期なので骨が柔らかいということと、偏食で食生活の乱れや朝抜きで学校に行き、骨、血の成長が軟弱という事からも十分考えられます。


【治療方針】

過敏な体質なので、鍼は使用せず、腹部の邪気(気の停滞)を散らしていく方法をとりました。

夢分流打鍼術というものです。


【治療経過と考察】

1診目~基本的に同様の治療:火曳きの鍼と左脾募散ずる鍼。

2診目から脾の弱りを立てるために、公孫の千年灸1壮。現在15診目。

 

1診目で膝の痛みがなくなりました。背部も3診目ごろから左右差が無くなっていき、背骨が真っすぐになってきました。背中が伸びてきたので腰や膝のアンバランスも解消されていったと思います。治療中は受験のストレスがかなりあったものの、治療度ごとに背中の筋肉の左右差はとれていきました。高校も無事に合格し喜ばれています。

 

先日、側弯症と言われた整形外科の先生に診てもらうと、「これ鍼だけで治ったんですか?」と

驚いておられたそうです。「それも刺さない鍼でお腹をトントンしただけです」とお母さんが先生に言ったそうですが、先生の頭の中は??だったようです。

 

身体は繋がっています。精神とも密接です。今、学校に行けない子が急増しています。眠剤や頭痛薬、血圧上げる薬等々、若い子たちが薬づけになっているのが現状です。

 

子供は大人が思っている以上に何倍も真面目ですね。エネルギーに満ちあふれた子供たちが3年間、様々我慢し、怖がり、注意され、バランスが崩れないはずありません。子供たちが元気になるのを楽しみにこれからも治療させて頂きます。まだ少し背骨が曲がってますので治療は時々した方がいいですね。

 

先日のレントゲン写真を添付しておきます。

右(治療前)    左(治療後)