西宮市在住 20代女性 2025.3月来院
【主訴】強迫神経症(不安感による確認行動の増加)
元々の心配性、潔癖症が今年に入り徐々に増え、確認作業(手洗いやカギ等々)を頻繁にするようになる。それによる不安感も増してイライラし息が詰まり呼吸が吸いにくくなる。
また、夕食は胃もたれするまで食べてしまい、食べないとメンタルが病みそうで怖いと感じている。便秘、腹痛、下痢を繰り返す。
増悪因子/疲れた時、寝不足、生理前(過食になり不安感が増す)
緩解因子/入浴、ストレッチ等運動
【既往歴】
看護師として就職後、コロナ禍に。当時ウエストラインの左右に蕁麻疹、同時期に咳喘息が発症。昨年、逆流性食道炎と過敏性腸症候群の診断受ける。
【東洋医学からみた原因】
性格的に潔癖症で真面目、責任感が強い方ですので、心と体に常に緊張がある状態です。これを肝気鬱結(かんきうっけつ)と表現します。「肝の気」が伸び伸び出来なくなり、停滞してしまう状態です。この状態は看護師になってから6年間継続し、特に今年に入ってからは多忙になり悪化したものと考えます。
また、不安になると、油物や甘い物を過食してしまう傾向にあり、胃腸に負担がかかり胃もたれや便秘・下痢を繰り返す状態になります。
これらは、肝気が脾胃(胃腸全体)を抑え込む事により発症します。
【治療】
上記の状態、肝気鬱結を先ずは緩めることが先決です。実際、背部の肝の臓のツボ、肝兪穴がかなりの硬結により、触る事も出来ないほどこそばく張っていました。ツボを触って、こそば過ぎて、はねのける状態を拒按(きょあん)といいます。
この肝兪穴に1本鍼をいれ、このツボが緩んできたらこれらの症状は改善されると考えます。
1診目~5診目まで:肝兪穴(左)
6診目:腎兪(頻尿の為)
7診目~再び肝兪穴(左)
【経過】
3診目から過食が無くなり、冷えていた足が暖かくなる。6診目頃から仕事に復帰しましたが、かなり身体が楽になり確認行動が減少。現在も定期的に継続して治療に来られてます。こそばく触るのが困難だったツボも普通に触れるようになりました。このツボはストレスのバロメーターの様になっています。ご自分が思ってる以上に楽に働けるようになってるとの事で本当に良かったです。
【強迫神経症について】
西洋医学的に強迫神経症ははっきりした発症のメカニズムは分かっていないようです。
ただ、しっかり者、頼りがいがある、真面目で完璧主義といった性格の人が発症しやすいのも特徴のようです。不安から来る確認行動を止めることはかえって不安が高まるのが特徴と言われています。
【東洋医学から一言】
心と体は繋がっています。1本の鍼で体から心へ。変化は歴然です。