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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2012年10月10日(水)

無月経 []

川辺郡在住 女性 45歳
主訴:無月経
初診日:平成24年7月初旬

(現病歴)
40代頃から、寒い時期のみ生理が飛ぶようになる。数年後から更に5-6月など季節の変わり目も飛ぶようになり、生理が来たときは5日目に経血量が多くそれ以外は少量。ホットフラッシュ等更年期の症状が出始める。昨年の秋頃、漢方薬の加味逍遙散と当帰ベースの煎じ役薬を処方してもらい半年後に生理が飛ばなくなったものの定期的には来ない。
去年の夏に生理がきて以来再び来なくなる。漢方のお医者さんが遠方の為漢方を中止してからホッとフラッシュが更に酷くなる。
血液検査の結果、若干ホルモンの数値は低い。

(その他の情報)
・最近夜中にトイレに行く回数が増えた。
・口内炎が出来やすい。
・アレルギーがある。(カニ・エビなど)
・白髪が増えた。

(特記すべき体表観察所見)
顔面診:額と頬が紅い。肝と腎の部分が色抜けている。
舌診:紅舌、白二苔(白い苔が張り付いている)、舌が紅い。
脈診:1息4至半、脈幅力とも有り、左尺位弱。
原穴診:虚:左太淵・太溪・太衝・照海。
実或虚中の実:右合谷・太衝・衝陽・後溪等。
腹診:左大巨、右脾墓から胃土、右肝之相火。
背候診:神道から筋縮まで圧痛、左肺兪~心兪・肝兪~三焦兪まで実、左志室虚。

(診断と治療方針)
肝鬱気滞~やや化火証(かんうつ)と腎虚証:

生理が止まった原因として、患者さんの仕事環境のストレスと、一度やりだすと止まらない徹底した性格の両面が、肝の昇発作用を過多にさせていること。(肝の蔵は本来、木が枝を伸び伸びと広げるように上下に成長していくものが、精神的圧迫によってそれが妨げられると肝気鬱血(うっけつ)という概念になる)

また、年齢的に腎の気が弱ってきた(夜中の尿、脈や腎のツボの状態などの体表観察からも推察される)ため、上部が実、下部が虚というアンバランスな状態となる。

よって、この肝気の上がりすぎと、下である腎の弱りが原因となって生理が来なくなったものと考えられる。
上に肝気が上がりすぎると、益々下にある腎気が空虚になり悪循環となるため、肝気を下げるツボ(太衝あるいは、百会)と下の腎気を補うツボ(照海)の両方を使用していく。

(治療結果)
7診目にはホットフラッシュが無くなり、10診目に生理が普通にきました。
45歳という年齢で、もう閉経と思うのはやや早すぎるように感じます。
生理が始まった年齢にもよりますが、気血のバランスがとれていれば、閉経の平均は53歳くらいです。
また、更年期障害の出方は人によって本当にまちまちで、50肩やホットフラッシュ、眩暈(めまい)耳鳴り、精神的にうつになる等々ありますが、そのような症状は無いに越したことはありません。

女性にとっても身体が大きく変化する更年期。だからこそ鍼灸治療をこの時期に始めることは必要で最適ではないかと思います。

時期がきて、たとえ生理が無くなったとしても、健康で益々ハツラツと人生をエンジョイする、そんな後半生を送っていくためにも鍼灸をはじめ、運動(特にウォーキング)や新しいことに興味を持ち、心身ともにバランスを保っていきたいものです。