ENGLISH

MAIL

WEB診療予約

実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

MENU

症例

2012年7月23日(月)

アトピー性皮膚炎 []

京都市在住 4ヶ月 男子
主訴:アトピー性皮膚炎
初診日:平成24年4月

(主訴について)
生後2ヵ月半頃から顔全体が赤く変化し始め、最初に両頬、頚や体幹、足に赤みと痒みが広がる。肌汁も出る。非ステロイド系の軟膏も亜鉛軟膏も脇以外は効果無し。

(経歴)
今まで1日2回~3回出ていた便が、生後40日目以降には1回になる。母親はお餅やチョコが好きでよく食していた。
3ヶ月半~小児科で母乳を止めるように言われミルクにする。(母乳もあまり出なかった)
アトピーが出始めてから便の色が黄色から緑色に変わる。臭いの変化は無し。ステロイドを朝夕1週間全身に塗りその後綺麗になったので夕方のみにした。痒くて引っ掻くため手にミトンを常時着用している状態。

(その他の所見)
・室内を湿熱にしたり、入浴時間を長くすると悪化する。その反対は緩和する。
・足が冷で頭が熱感。

(診断と治療方針)
便の色の変化と臭いは身体の中の湿熱によるためで、それゆえ粘っとした黄色い肌汁が出たりする。
便の回数も減ったため更に内に湿熱が篭った状態になり悪化したものと思われる。
頭が熱くて足が冷えている状態も寒熱が上下逆転しているためで、顔や手に酷くアトピーが出る事に合致している。
乳児なので鍼は刺さず、古代鍼の接触針にて、上部の湿熱を取るような治療とする。

また、ツボの状態から脾胃の弱りもアトピーに影響していると考え、脾胃のツボを補いながら肝の昂りを抑えるような治療方針とする。

(治療配穴)
百会に銀の古代鍼にて接触、右太白を金の古代鍼にて補う。背候部の肝脾中心に散鍼を施す。

(治療効果)
治療初めは一進一退だったのが、9診目頃から顕著に効果が現れ、便通も1日2回出る等、湿熱が徐々に取れてくる。現在18診目。アトピーの影は全くなく真っ白の肌になり落ち着いている。(下記写真参照)ステロイドは完全に使用無し。

(考察)
手に痛々しくミトンを巻かれていたのが嘘のようです。最高に綺麗なお肌になりました。お母さんも共に治療をされ心身共にたくましくなっていかれてるのを感じます。

また、遠方なのでご主人が毎回送ってくださり、治療中も待っていて下さり心から感謝しています。ご家族の協力あっての回復だと思います。

今の肌を見たら本当に綺麗なのですが、それだけでなく、赤ちゃんなのに何か風格さえ感じられる程です。
夜もぐっすり寝てくれているようで落ち着いてます。

私に向けてくれる笑顔は、鍼大好きって言ってくれているようでこちらの心が緩んで元気になってきます。
ご家族共に信頼をしてくださり感謝しています。


治療前


治療後

2012年6月13日(水)

夜間尿 []

主訴:夜尿症
西宮市在住 10歳 男子
初診日:平成24年3月初旬

(経過)
夜尿は生まれてから毎日で、夜尿しなかった日は一日もない。

2歳時、保育園で高い所から飛び降りた時、右足指複雑骨折。落ち着きがなく常に動き回っているらしい。先天性弱視、乾燥肌、便秘気味。8歳で名古屋に引っ越してきてからアトピー発症する。

自然学校もあるため夜尿症を治したいとHPにて来院される。

(特記すべき問診)
飲食:大食で間食有り。口の渇き有り、冷飲好む。
二便:2日に1行。臭いキツイ。尿は1日5回、尿切れ悪い。
汗:多く、特に額にかく。寝汗も有り。
手足冷える、寒がり。

(特記すべき体表観察)
舌診:暗い赤で、白い苔がべっとり付着。
原穴診:右神門、太白虚。右太衝熱感。左太溪虚。
背候診:督脈上の圧痛は身柱・筋縮・中枢・懸枢。左肝兪熱実、右心兪実。
腹診:右脾募、両肝之相火キツイ邪。

(診断)
アトピー、口の渇き、便秘、便の臭いがキツイ、汗が額に多い、ツボの熱感等等、これらは全て身体の中に熱をこもらせているためと考える。
手足が冷たいのは、ツボの状況から身体の中に熱がこもって、手足末端まで陽気がめぐっていない為と思われる。

この夜間尿は、肝気の昂りが相対的に腎の気を弱らせている為であると考え、肝気の昂りを緩和する治療とする。肝之相火(両方の脇)が、非常に硬く緩みがないため、ここが緩んでくる事を治療の目安とする。

(治療方法)
初診日:鍼を使用せず、打診(両脾募)と古代鍼(百会)にて治療。
3診目以降:外関穴に置鍼し(アトピー治療のひとつ)、古代鍼にて背中を散鍼。
9診目~現在まで:百会穴に5番鍼にて置鍼すること10分。

(効果判定)
本人の性格や鍼を怖がっているという事もあり、初めは鍼を使用しないで治療を開始。徐々に鍼を使用して百会穴に置鍼できるようになる。
百会を使用してから3回目で、尿の量が減少。6回目に初めて夜尿をしない日が出る。(家族中大喜び)現在、6月6日来院時点で10日間連続して夜間尿がなくなった。

(考察)
今まで10年間夜間尿をしない日が無かった子が、今は嘘のように改善されました。それも、治療を始めてから12診目に効果が現れ、ご家族中がお祝騒ぎで喜ばれたようで、その様子が目に浮ぶようです。

夜尿が無くなってきたのは、やはり、肝之相火(両脇)の酷い張りが緩んできてからです。やはり、肝の昂りが原因であったと思われます。

本人は、中々置鍼中もじっとしていられず、お話ばかりしていたので、時に注意もしたりしましたが、お母さんと共に治りたい一心で来院して下さっています。本人も大変ですが、毎日お洗濯されるお母さんのご苦労はどれ程かと。

治療をしていくことで、夜間尿だけでなく普段からの肝の昂り過ぎを緩和し日常生活が益々円滑になっていくと思います。

2012年6月9日(土)

夜尿症 []

尼崎市在住 7歳 男子
主訴:夜尿症
初診日:平成24年1月中旬

(主訴について)
生まれた時から夜尿症が継続。1年前に鍼灸院に通った時は少しましになったものの、昨年夏頃から夜尿回数が増える。秋に夜尿専門医の所に行き、食事タイミング指導を受けるも治らないため、ホームページにて来院される。

(経歴)
2,000グラム後半で出生し保育器に入る。父親は遅くまで仕事、母親は専業主婦。休日は家族でよく出かける。幼稚園の頃から歯ぎしりやチックが見られるようになる。友人は比較的おだやかな子と毎日遊んでいる。

(その他の所見)
・日中の尿回数は7回~10回。
・飲み物は冷飲好み一気に飲む。好物肉類と果物。
・足が冷たい。

(主な体表所見)
舌診:紅舌でやや色が褪せている。舌の先が紅く舌の前の方に紅い点々が多数。舌の奥が剥げ。白い苔がべったり付着。舌自体は湿っていて乾燥してない。
脈診:滑脈。
原穴診:左腕骨虚、右太溪・太衝・照海・太白虚。
背候診:左肝兪から三焦兪の熱感強い、右腎兪虚。
腹診:右肝之相火の邪気。

(診断と治療方針)
チックは、上部(首から上)に気が偏り過ぎているため起こる、肝気鬱血型
(かんきうっけつがた)によるチックと判断。それは、舌所見で舌の先が紅く、紅い点々が
多数見られること、右の肝之相火の邪がきつい事が挙げられる。(舌、腹部脇辺りは、肝気
の昂り度合いの指標となる)
チックは情緒の変動と密接な関係があることからも、肝気が昂り過ぎていることが考えられ
る。

このように上部に気がかたよっているため、下部にある腎に影響が及び(上下のバランスの
乱れ)腎の気が虚し夜尿になったものと考えた。

また、舌にべったり粘着な白い苔が見られることから、肝の昂りが胃腸にも影響していると思われる。

以上のことから、肝と脾胃にアプローチし、肝の高ぶり過ぎを抑える事によって、腎気の弱りから起こっている夜尿症を治癒していく方法とする。

7歳で敏感な男の子のため、鍼を用いず古代鍼という接触鍼を使用する。

百会(上の気を下げる)、両少沢(情緒に安定を与える)、右心兪から胆兪までを中心に銀の古代鍼にて散鍼(肝気を巡らせる)。太白(脾胃の状態を調える)を銀の古代鍼にて治療を継続。

(治療効果)
週2回の治療開始。1診目より効果が現れ、治療にこられる度に夜尿1回失敗のみになる。足が4診目で温かくなり、胃腸のツボ、太白穴の反応が良くなってくる。
17診目には夜尿は殆どしなくなった。また、チック症状も無くなる。

(考察)
長男さんで中々しっかりした男の子です。
当初から、かなり我慢強い印象も受けましたので、発散が中々できていないのだろうと予測してました。
その様なお子さんは、気が上に上り易すく、それがチック症状になっていたのだと思います。

治療を進めていくうちに、慣れてきたこともありますが、自分らしさがドンドン発揮されて伸び伸びと明るくなっていくようでした。
夜尿もチックも良くなり、ご両親も共に治療を受けて下さっています。

学年が代わり緊張があると少しチックが出たり、夜の食事が遅いと少し夜尿が出たりしますが、ツボの反応が改善されていますので、直ぐに元に戻る程度のものと思います。

治った事で自分にも自信が出来、お母さんやお父さんに迷惑をかけているとの心も救われた気持ちだと感じています。
こどもは、言葉では中々表現しませんが、夜尿等したら、親に悪いな、と心の中で思っている子がほとんどです。

これからも鍼灸の力で身体から、精神の緊張を緩めていって欲しいと望みます。

2012年5月7日(月)

不妊症 []

西宮市在住 女性 31歳
主訴:不妊症
初診日:平成23年6月

(主訴について)
25歳で結婚。妊娠しないことが気になり病院へ。ご主人精子量少で奇形、本人の卵巣年齢高く機能低下のため、人口受精3回、体外受精6回するも着床せず。ホームページにて来院される。

(その他の情報)
・体外受精してから今まで無かった生理痛が起こる。
・胃がもたれやすい。
・梅雨時身体がだるくなる。
・目が乾燥したりごろごろする。
・多汗(特に上半身)

(特記すべき体表所見)
舌診:暗い赤でやや色が褪せている。白い苔がべったりついている。舌の先から縁にかけて紫色(瘀血)の剥げが目立つ。
脈診:弦脈、右尺位しっかりうっている。(妊娠脈として重要)
原穴診:太衝右虚中実、三陰交右実、太白左虚。
背候診:右肝兪~三焦兪まで虚中実。
腹診:胃土、左肝之相火邪。

(診断と治療方針)
舌の色(舌の先から縁にかけて紫色(瘀血)の剥げが目立つ)の所見から気血の滞りが長く続き瘀血(おけつ)(血液の渋滞でできた産物)考えられる事。舌の苔がべったり付いてる上、梅雨や雨の日に身体が重くなる、もたれやすいなどから湿邪(身体の中に余分な湿気があること)の存在が考えられる事から、血瘀湿熱(おけつしつねつ)による不妊と判断。

治療方針は、胃経を動かし(胃経は水湿の運化と関係が深いため)バランスを調えていくように治療方針を立て、反応のあった胃経上の大巨穴を使用する事とする。

(治療結果)
19診目まで、殆ど大巨穴を使用。下半身が暖かくなってくる。
20診目から後溪穴に変更する。
24診目に妊娠が判明。初めての着床。(体外受精にて)つわりも殆ど無く、37診目に妊娠24週目にはいり、ここから申脉穴に変更。
43診目まで治療を継続し、東京の実家にて6月出産予定。

(考察)
ご結婚されて6年目に初めての着床、妊娠となり本当に喜んでいます。
患者さんは、鍼灸を信じて下さり淡々と治療を継続されました。

右の尺位の脈がはじめからしっかり打っていた事は、早い妊娠に繋がるのではと感じていました。(右の尺位の脈は腎の陽気を伺う脈で妊娠には重要な脈とされてます)また、精神のぶれが無かった事も妊娠に結びつく大きな要因だったと思います。

また、使用した大巨穴について、藤本蓮風著の『経穴解説』では、「北辰会では腹診を行う際に(略)大巨穴を中心とした場所で斜め(上下の左右差)のバランスを大まかにみていくが、このことは言い換えれば先天、後天の関係を診ている事なのである。」と言われています。

先天とは、妊娠にとって非常に大事な腎の気=元気の大元です。後天とは、生まれてから食物等によって脾胃で作られる元気の事です。
この重要な先天(腎)と後天(脾胃)の気のバランスをみながらも、元気を補っていくツボ、それが大巨穴です。妊娠が判明した時は、すでに5週目でしたので、大巨穴がこの患者さんの妊娠に決定打を与えたツボだったのではと考えています。

鍼で顏色も良くなり、生理痛も無くなり、舌の紫の瘀血の剥げも殆ど綺麗になりました。これは、気がドンドンめぐって瘀血が取れてきた証拠です。
母体が健康なら、赤ちゃんも健やかに育ちます。
元気な赤ちゃんのお顔が見れるのを心から楽しみにしています。

2012年2月8日(水)

喘息 []

尼崎市在住:10歳 男子
主訴:喘息
初診日:平成23年10月初旬

(現病歴)
生後3ヵ月の時アトピー発症。全身に広がりネバネバの肌汁が出て掻きむしり、出血してマシになるを繰り返す。特に春先が酷くステロイド剤にて緩解。5歳になりアトピーがましになると喘息が出るようになる。

ヒューヒューの喘鳴と黄色の痰、咳がひどくステロイド剤を吸入する。水泳をしている時はましだったが止めてから悪化。9歳の時、薬を止めて症状が悪化し仕方なくステロイド剤を点滴する。昨年の運動会後も悪化し点滴使用。アレルギー検査では、ハウスダスト、ダニ、犬猫に陽性反応。

(その他の情報)
・飲食:酸味を好む、嫌いなものは揚げ物やケーキ等。
・便通:正常。
・時々歯茎が腫れるときあり。
・手足が冷える。

(特記すべき体表観察)
顔面診:心と腎の部位が白く抜けている。
舌診:暗紅色でやや色が褪せている、白二苔。
脈診:滑枯脈、脈幅有り、脈力やや無し。
原穴診:左腕骨・太渓・照海虚、左合谷実。
腹診:心下邪、左肝之相火邪。
背候診:左心兪から脾兪まで実熱、右腎兪虚。

(診断と治療方針)
喘息とアトピーは裏表の関係にあり、上記のようにアトピーが引くと、今度は喘息に病が移行することは多々見られる。
これは、肝の臓と肺の臓の関係で、東洋医学の臓腑経絡詳解では、肝と肺の図は非常に似ており(肝は七葉、肺は八葉)両者の関係が深いことを表し、肺と肝は人体の気機調整(全身の気血を巡らせていく事)に大きく関与していると言われている。(臓腑経絡学説P41参照:藤本蓮風著)

肺の蔵は皮膚と密接のため喘息となり、肝の臓は伸び伸びしていることを好む臓なので、何かのストレスが過多になると肝の臓に異常な反応が生じる。

このお子さんも性格がデリケートな上、小さい頃からアトピーも発症していた関係から容易に肺の臓の気機が伸びず喘息を起こしやすい状況にあったものと思われる。ステロイド剤は副腎皮質ホルモンのため長く使用していると腎の臓へ影響がある。そのことが体表観察の上にも脈にも出ていたため、打鍼による治療とする。(打鍼は生体に非常に優しいため)

(治療)
初診時~3診目まで:火曳きの鍼、両脾募、右肝之相火。
4診目~10診目まで:外関穴を2番鍼にて置鍼10分を加える。

(治療効果)
今まで夜中ヒューヒューの喘鳴の次の日は喘息がきつかったが、治療してからはかなりましになる。4診目から殆ど喘息は出なくなる。少し出ているアトピーの痒さも殆どなくなる。12診目に弟のインフルエンザがうつるが喘息は起こらなかった。ステロイド剤も全く使用していない。

(考察)
たった十数回の治療で喘息が殆ど出なくなりアトピーも良くなっていかれました。本人の顔つきも本当に元気になり喜んでいます。

喘息は風邪が引き金で発症する場合が多いため、普段から乾布摩擦などで皮膚を鍛えることも大事です。

どのような病でも、身体から治していくと、多少のストレスがかかっても身体に影響することはなくなっていきます。

また、ご家庭で愛犬を飼われていた時、医者から飼うのを止めるようにとの事で相談を受けましたが、そのまま飼い続けられても喘息は発症しませんでした。
このように、薬でなく自分の自然治癒力を発揮する鍼灸治療は、病気を根治させる優れた治療だと確信します。

1 7 8 9 10 11 19